アメリカのサンフランシスコから北へ160キロほど離れた辺鄙な場所に、
シーランチという土地がある。太平洋を望む海沿いの荒涼とした街だ。
その寒々とした海へ突き出した断崖の上に、
チャールズ・ムーア作『シーランチ』は建てられている。
軒も庇もない木造住宅。海風に飛ばされてしまうので最初から何もついていないのだ。
まるで積木のような住宅が10戸、肩を寄せ合うように並んでいる。
今回のプロジェクトはこのシーランチを下敷きに、敷地の気候から再構築し、
あくまで環境に溶け込み、周辺へのインパクトを出来るだけ少なくした上で、
最低限の居住空間を確保し、外部とのつながりを最大限に生かし、
敷地いっぱい周辺環境まで取り込んだ計画とした。
この計画は、Studio部分をオーナーの趣味スペースとして取り込んでいるところが特徴で、
サーフィン、シーカヤック等のマリンスポーツを趣味とするオーナーのために設えた。
Studioの入り口は吊り引き戸で全開口できるように設えているため、
室内外の区分け無く使え、水にぬれたものでもそのまま持ち込め、
メンテナンス等が出来るようにしている。
この部分をガレージ、作陶部屋、農作業小屋とし、その趣味にあった敷地にこの小屋を建て、
人生のゆとりを過ごしてほしいと考えている。