外皮性能について、Youtubeチャンネルでも解説しています。
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ちょっと前まで良く言われていた『次世代省エネルギー基準』。
実はこの基準、いまから約15年前の平成11年に設定された基準で、
それまでは「このぐらいの厚さの断熱材を使いましょう」というような、
ほぼ全国統一の大ざっくりとした基準しかなかったものが、
全国を六地域に分け、それぞれに熱損失係数=Q値と、夏期日射取得係数=μ値が設定された、
画期的なものでした。
ただ『次世代』とは言っても、建物の外皮性能=断熱性能だけを切り取った基準で、
それ以外の設備機器等をいくら高性能にしても、基準に反映させることできませんでした。
そこで平成25年に新たに基準が改定され、
①負荷の削減 = 高断熱化
②設備の効率化 = 省エネ化
③エネルギーの創出 = 創エネ化
の3点に整理され、それぞれに評価方法が定められました。
その中で、①負荷の削減=断熱性能の算出方法が、
平均熱貫流率=UA値、平均日射熱取得率=ηA値
に改められ、それとともに、「暖房」「冷房」「換気」「照明」「給湯」「その他の設備」の
「設計一次消費エネルギー」
をそれぞれ算出し、地域ごと、居室面積ごとに設定された
「基準一次エネルギー消費量」
よりも下回ればOK、という、より建物実態に即した基準になりました。
※一次エネルギーとは
基本的に自然界に存在するままの形でエネルギー源として利用されているもので、
石油・石炭・天然ガス等の化石燃料、原子力の燃料であるウラン、水力・太陽・地熱等の自然エネルギー等
自然から直接得られるエネルギーのことをいう。
これに対し、電気・ガソリン・都市ガス等、一次エネルギーを変換や加工して得られるエネルギーのことを
二次エネルギーという。
一口に「外皮性能(断熱性能)」といっても、夏と冬ではちょっと働きが違います。
まずは冬の外皮性能の算出の仕方を見てみましょう。
基本的には、室内→屋外へ逃げる熱の量を足し合わせて、
外皮(外壁や屋根)面積で割って算出します。
そのため冬の外皮性能には、屋根や壁、床の断熱性能と、
窓や玄関ドア等の断熱性能によって左右されます。
夏は冬と違い、外部→室内に侵入する熱の量を足し合わせて、外皮面積で割って算出します。
屋根や壁の断熱性能や、窓や玄関ドアの断熱性能(遮熱性能)とともに、
庇の長さや窓の方位、障子や外付けブラインドの有無などによって、性能が左右されます。
地域それぞれの基準値
平成25年基準では、全国8地域に区分され、それぞれにクリアすべき平均熱貫流率(UA値)と、
平均日射取得率(ηA値)が定められています。
大まかには1・2地域は北海道、3・4地域は東北甲信越、5〜7地域は関東、東海、近畿、中四国、九州、
8地域は沖縄となっていますが、市町村ごとに地域区分が設定されていますので、コチラで確認してみて下さい。
5〜7地域はUA値基準は同じで、ηA値基準のみ違っています。
これは、冬の断熱性能による省エネよりも、夏の遮熱性能による省エネの方が大きいということを表しています。
これらの基準はあくまで最低基準で、これよりも上位の住宅性能表示や長期優良住宅、認定低炭素住宅、
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)では、更に厳しい基準が設定されています。