前回は「住まいの中のエネルギー利用」についてお話しいたしましたが、今回はそのエネルギー利用をどう効率化して削減していくのか、についてお話しします。
住まいの中で使うエネルギーの3割強は冷暖房(ほぼ暖房)、3割弱は給湯です。
まずはこの2つのエネルギー消費をいかに減らすか、というところがキーとなります。
給湯は「貯められるエネルギー」なので、実はシンプルな回答があるのですが、それは次回以降に(笑)
冷暖房が手付かずのままでは、穴の空いたバケツに水をいくら入れても満杯にならないということに似ていて、
まずは穴を塞ぎましょう、小さくしましょうということです。
手っ取り早いのは断熱材をいっぱい入れて、サッシも高断熱の樹脂トリプルガラスを入れて、
とにかく断熱性能を上げることですが、闇雲に断熱性能を上げてもコストがかかるだけで、
あるポイントを超えるとほとんど消費エネルギーは減らなくなる、場合によっては増エネになる場合もあります。
そこで、みんなのオフグリッド研究所では、建物の断熱性能や太陽の日射による暖房効果などを、
気象データも加味した「暖冷房負荷計算」という手法を使って、暖房を使わずにどの程度室温を維持できるか、
365日24時間の1時間ごとに経過をシミュレートし、冷房・暖房にかかるエネルギーを算出します。
結果、断熱性能が足りなかったり、うまく太陽の熱を室内に取り込めていない場合、
窓や壁、屋根の断熱性能を上げたり、窓の配置を調整して良いバランスを探っていきます。
そして、夏の冷房エネルギーと冬の暖房に使うエネルギーが同じぐらいになるレベルに建物の断熱性能を持っていくことで、最低限のエネルギーで快適室温を維持できる建物をまず計画します。
その後、太陽光パネルがどのくらい屋根に乗るのかを計画し、時間ごとの発電量を導き出し、
日中に余る電気量、夜間に必要な電気量を導き出し、どの程度の大きさの蓄電池が必要かを算出します。
夜間に必要な電気量は、住まい手の生活スタイルによるところが大きく、
それをどのようにシミュレーションに乗せるかがキーだと感じており、今回建築するモデルハウスでの実測結果や、
今まで手がけさせていただいたお宅の消費電力パターンの解析が必要かと感じています。
これはこれから・・・・の部分です。
ただ、建物自体でどのぐらい冷暖房エネルギーが必要かを把握することなく、
闇雲に太陽光パネルと蓄電池を設置したとしても、
すぐに足りなくなるのはシミュレーション上でも今までの経験からも明らかです。
まずはじっくりシミュレーションし、その地域、敷地に最適な断熱性能、日射取得性能を導き出し、
必要な発電量、蓄電量を計画することが、合理的なオフグリッドハウスを作る近道だと考えています。