音楽室のある家 性能向上リノベーションの工事が終わり、建主さまへお引き渡しいたしました。
この住まいは竣工後18年ですが、夏暑く冬寒いとのお悩みがあり、間取り変更のリノベーションと共に断熱改修を行いたいと、当方へご相談をいただきました。
既存の図面の読みとりや現地調査を行ったところ、ほぼ無断熱であることがわかり、フルリノベーションを行う1Fは壁、天井に高性能グラスウール24K100ミリ充填、床は現場発泡硬質ウレタンフォーム100ミリ、一部サッシ交換+樹脂内窓の取り付け、大きな間取り変更のない2Fは、天井にセルロースファイバー300ミリ+一部サッシ交換+樹脂内窓の取り付けを行いました。
元々リビングのあったところにキッチンを持っていき、南側に解放された広い明るいキッチンとしました。
改装前のリビングです。
キッチンにつながるリビングは、あまり使われていなかった2間続きの和室を1部屋壊しリビングへ改装。
南側の窓は縁側となっていたものを部屋に取り込んで、明るく解放感のあるリビングに仕立て直しました。
改装前の和室。リビングと一体に使えなかったため、あまり活躍していない部屋でした。
リビングとキッチンの間には、日々の細々としたものを収納するカウンターを設置。キッチンの中が丸見えにならないように棚を配置しています。
玄関からリビングにつながる廊下は、家の中が丸見えにならないように収納を正面につけて目線を区切っています。
キッチンシンクの後ろには、電子レンジや炊飯器を置くための棚を造作にて設置。天板は耐久性の高いブラックチェリー。
元々縁側だった南側のサッシを取り込んだリビング。
ステレオが趣味の建主さんのご要望で、TV、ステレオセットをまとめて収納できるTVボードを造作しています。
元々あった8畳の和室を6畳に縮小。
長押などの造作材は既存のものを大工さんに丁寧に外していただき再利用しています。
元々お風呂、トイレがあったところに、新たに音楽室を作りました。
防音、調音のために壁、天井にセルロースファイバーを充填し、サッシはYKKAP430のトリプルガラスに入れ替え。壁はシナの有孔板で残響音を調整しています。
大きな間取り変更のない2Fは、既存の天井の上にセルロースファイバー300ミリを吹き込み、サッシに樹脂内窓を取り付けて断熱性能を上げています。
元リビングだったところにあった出窓は、キッチンと高さを合わせるために窓台に壁を追加。余った空間は外側から使えるように収納にしています。
外壁は塗装更新の時期でもあったので、濃いめのグレーで再塗装。
屋根もコロニアル葺きだったので、今後のメンテナンスも考え、ガルバリューム鋼板で葺き直しました。
塗装更新前の外観。グレーに塗装し随分シックになりました。
1981年に現行の耐震基準に法改正されており、この建物も法改正以降に建てられているものでしたが、筋交や金物が基準に合っていないところが多数あり、厳密に評価すると耐震基準に達していないものでした。
設計を進めている段階で発覚できたので詳細調査を行い、既存の耐震性能を計算したところ、地震で倒壊しないと言われている評点が0.86しかないことがわかり、大きく改修する1Fの耐震改修も併せて進めて、1.21に上げることができました。
せっかく大きく改修するのであれば、建物の基礎体力とも言える耐震性、断熱性をUPすることで、さらに長く安心して住まうことができます。
音楽室のある家
建設地:栃木県鹿沼市
竣 工:2022年8月(新築時竣工 2004年)
工 法:木造在来工法 2階建て 性能向上リノベーション
断熱性能:既存UA値 1.37W/㎡K ηAC値4.1→断熱改修後UA値 0.64W/㎡K ηAC値1.8
構造性能:耐震改修前 評点0.86→耐震改修後 評点1.21