ブログにアップし損ねていましたが、
去年、東京建築士会の「東京ヘリテージマネージャー養成講座」の1期講習を修了しました。
いや〜この講習、平日の夜と休日の日中に62時間はきつかっタァ〜(泣)
でも、どの講座も文化財や古い建築のなりそめ、保存方法から、
経済面でどうフォローアップしていく必要があるのか、座学だけではなく、
ワークショップでも学ぶ素晴らしいものでした。
ある重要文化財の「保存と活用」、特に「活用」に関する業務を請けていることもあり、
きっちりと整理立てて勉強できたいい機会でした。
文化財といえば、どうしても「保存」に傾きがちですが、
保存(保全)するには、特殊な技術を持った技術者の関与や、
特別な資料を作ったり保管をしたりと、普通の建物をメンテナンスする数倍のお金が必要で、
国庫などの補助金もありますが、国全体でも限られた額しか交付されず、
ほとんど所有者負担で行わざるを得ない状況にあります。
所有者の資金に余裕があればいいですが、建物を「保有」するだけでも相当な資金が必要な現代、
文化財として「保存」するには、相当の資金力が必要になります。
(国や市町などの行政所有が多く、民間や宗教法人が所有している文化財が少ないのはそのせいでもあります)
しかし文化財といえど、法隆寺や清水寺などの1000年級の木造建築だけではなく、
近現代建築と呼ばれる、昭和一桁台の建物も文化財として保存活用する時期に来ています。
(青山同潤会などは、ぜひ残すべき近現代建築でした)
また、木造建築は結構な知識の蓄積もあり、「文化財建造物修理主任技術者」という、
国家資格を持った方が携わることが多いのですが、如何せん技術者の総数が少なく・・・
(建築士資格をお持ちの方も少なく、今の基準法との整合性や、構造、防災との安全性の確認となると・・・)
そういう近現代建築を、どう活用しながら保存するか、
経済的な部分も含めて関係できればなぁ〜と、ヘリテージマネージャー講座を受講しました。
現在関わっている重要文化財建築も、ある民間企業所有でずっと来ているのですが、
その補修を含めたライフサイクルコストはものすごく、利益を上げるべき企業からすると、
「所有」していること自体が利益相反と捉えられる可能性があるほどの負担なのです。
その負担に対して、企業CSRや、副次的なイメージ享受など、
目に見えない利益を得ていることを、どう企業戦略と並走させるか・・・
企業の日々の商いと文化財所有がきちんと並立し、利益を上げることができれば、
「守り活かしていく」という考えかたも広まっていくと考えています。
今関わってる重要文化財でも、「投資対効果」という、
よほど文化財保存にはそぐわない視点で関わっていますが、
kameplanもそういう面での「くさび」になればと思っています。