先日、早稲田理工学部の構内で行われた、WoodStationさんの大型パネルの公開施工実験を見に行ってきました。
通常、木造の建物を建てるときは、柱や梁、床などを組み立てたあと、
外壁の下地や耐力壁になる構造用合板を張ったり、
サッシを取り付けたり、断熱材を取り付けたりと、建物の姿が見えてくるまでにおおよそ1~3週間はかかります。
この大型パネル工法は、柱や梁、構造用合板、サッシ、外壁の防水シートなどを、
ある程度の大きさのパネルになるまで工場で組み立てて、
現場に運び込んで一気に建てると言う工法です。
パネルを組みだして、写真の型になるまでにかかった時間は、たったの5時間。
1~3週間を5時間に短縮できる、驚異的なスピードです。
パネル工法自体はkameplanでも古くから取り組んでいて、
HamuraSolarCube、宇津木台の家、おおやねの家、竹林安居、EcoTown瑞穂長岡、ろくろくの家など、
多くのパネル工法を手がけてきております。
今までのパネル工法同様、この工法のメリットは断熱材を工場で組み込めるほか、
サッシまで工場で組み込んでくるので、現場よりも精度良く施工ができ、雑なゴミも少なくなるということと、
大工さんが現場で重量物を取り付ける作業が減る、というところにあります。
特に最近のサッシは性能が上がってくるとともに重量も増しており、
大きなものでは2~3人で抱えないと上がらないものも少なくありません。
それを狭い足場の中で作業するのは、大工さんにとって結構な負担になります。
職人不足が進んでいる建築現場では少しのこともきっちり考えて作らないと、
だれも大工をやりたいと言えなくなる環境なのです。
断熱材の取り付け精度が上がることは、設計で狙ったとおりの性能が出るとともに、
施工不良部の結露を防ぐことにもつながり、長い目でもても建物の長寿命化に繋がります。
パネルはこの特製のかごに工場で積み込まれ、トラックで現場まで運ばれてきます。
この日の現場は風が強く、寒い中の作業となりましたが、
工場でのパネル組み立ては建物の中で行うので、作業員さんの労働環境の向上にもつながりますし、
構造部材や断熱材を、不意の雨でぬらすことも無くなります。
ある程度組みあがった時点で、ヘルメットをお借りして内部を見せて頂きましたが、
すでに断熱材が入っているので、寒い外部とは大違い。
工場で精度良く組み立てられた構造体と断熱材の収まりもすごくキレイ。
何よりも、ゴミがほとんど無い、というのもびっくり。
現場で出るゴミは、時にはお隣さんに飛んで行ったりと、結構現場の監督が神経を使うものなんです。
それでもやっぱり大きなサッシは現場で組み立てる必要がありますが、それも含めての5時間。
ものすごい時間短縮です。
大工さんの仕事が減るので・・・という建築関係者もいらっしゃいますが、
重量物を持ち上げたり、構造用合板を釘で打ち付けたりという「作業」は、
熟練の大工でなくてもできることなんです。
大工さんには内部の仕上げや調整、はたまた作りながら考える必要のある改修の現場など、
もっと職能を生かしてもらえるシーンがたくさんあります。
そういうところにリソースを使ってもらいたいと考えるkameplanです。
帰りの道すがら、すずめが群れて膨れていました。
すずめも膨れるほど、寒かったんですよ(笑)