「地震に強い家」ってよく聞きますが、どのぐらいの地震でどう強いのか、イマイチわかりにくいですよね?
性能表示の中に耐震等級というものがあり、
等級1(建築基準法同等)〜等級3(建築基準法×1.5倍の壁量)で表されますが、
これでも、「いったいどういう地震に耐えられるのか」なかなか直感的にわかりません。
そこで、kameplanで過去設計した11.5坪の家をモデルにして、
「WallStat」という国土技術総合研究所(国総研)が開発した建物倒壊シミュレーションで、
阪神淡路大震災の時の地震波(鷹取波)で揺すってみました \(^▽^)/
11.5坪の家は、小屋裏に3階があるちょっと特殊な3階建てですが、
1FにLDKがある分、地震時に抵抗できる耐力壁を配置できる場所が限られ、耐震的には不利なのです。
それでも、耐震等級3をクリアできるよう、許容応力度計算などのきちんとした構造計算をした上で、
地震の時の挙動を想像しながら適所に補強を入れていくと、
ほぼ問題のない構造設計ができるのです。
11.5坪の家は、そういう面では耐震等級3を超えた設計をしていました。
では、11.5坪の家を、建築基準法同等の耐震等級1で構造設計し直した上で、
上の動画と同じように地震波を入力して揺らしてみると・・・
1回目の地震で柱の足元が取れてしまっていますので、
この後の余震で倒壊することが考えられます。
基準法では、
「数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度)に対しても倒壊や崩壊しない」
とされているので、今回のシミュレーション結果はある意味正解、ということになります。
また、建物の揺れも耐震等級3より大きいため、2、3階の家具など固定されていないものの移動は、
結構なものと推測できます。
これが、基準法を約10%下回る耐震強度しかなかったら。
構造設計もせず、「今までこれで大丈夫」なんて具合でやっちゃった場合・・・
このように、構造設計をきちんとすることにより、どれだけの地震に耐えられるのか?ということは、
最近の大地震からの知見やデータ、解析ソフトの進化により、
今では、高い水準で推測することができるようになっています。
ただ、木造建築は長く大工さんの知恵や経験に頼って建てられていた部分もあり、
構造面では「エイや!!」と勘の部分で計画してしまう方も少なくありません。
同じ仕事をしている人を悪く言いたくはありませんが、
解析ソフトの結果は、実物大実験の結果とそう違わないという研究結果もある中、
やはり構造は、きちんと工学的に設計していくものだと、kameplanは考えます。
(もちろん温熱も工学的に設計するものです(笑))