車で坪単価を算出したり、施工床面積の出し方をお話ししましたが、
最後に、「建物が小さくなると坪単価が上がる」というお話をします。
住宅には、面積に比率して掛かる費用が上がる部分と、面積に関係なく掛かる部分があります。
よほど大きな豪邸は例外として、おおよその家には
「玄関」「キッチン」「トイレ」「お風呂」は1箇所です。
これらは面積には比例しないとします。
対して、屋根や基礎、構造体、外壁、断熱、内装、電気などは、
面積の大小におおよそ比例します。
この固定部分と比例部分を一緒くたに語るのが「坪単価」というやつです。
試しに35坪の家と、18坪の家で比較してみましょう。
試算に用いている単価は、あくまでたとえ話です。
単価自体は不正確なものなので、あまり参考にしないでください。
■35坪の家の固定費用部分。
■35坪の家の比例部分。
合計2530万円。
坪単価になおすと72.3万/坪となります。
これを18坪に置き換えると。
■18坪の家の固定費用部分。
※35坪と変わりません。
■18坪の比例部分。
合計1335万円
坪単価になおすと74万円/坪となります。
全く同じ仕様なのに、面積が変わるだけで1.7万円/坪も高くなりましたねぇ。
これが60坪の家になると
■60坪の家の固定費用部分。
※35坪と変わりません。
■60坪の比例部分。
合計4150万円
坪単価になおすと69万円/坪となります。
仕様が変わらないのに、35坪の家よりも3.3万円/坪も安くなりました(笑)
18坪の家から比べると、4万円もお買い得(笑)
この様に、同じ仕様でも面積が変わると坪単価も変わります。
なぜそうなるのかと言えば、面積に変わらず必要な機能があり、
それが固定費になるので、面積が小さくなるほど固定費部分の比率が大きくなるからです。
■18坪の家の固定費比率
380万円÷1335万円=28.5%
■35坪の家の固定費比率
380万円÷2530万円=15%
■60坪の家の固定費比率
380万円÷4150万円=9%
同じ仕様で面積が変わるだけで坪単価が変動するのは、
この固定費の比率が、小さくなるほど大きくなる「反比例」の関係にあるからです。
このように、同じ仕様でも面積でも変わる坪単価。
「何が含まれているかよくわからない坪単価」
×
「どこまで含まれているのかよくわからない施工床面積」
=
建物本体価
※坪単価は施工床面積により変動します(笑)
変数だらけで魑魅魍魎。
坪単価で比較する事の意味の無さをお分かりいただけましたか?
前のエントリーでもお話しさせていただきましたが、住まいに「全く同じもの」は無く、
見た目の仕上げや設備が同じでも、隠れた構造や下地、断熱など、
長く快適に住まう事に必要な性能は、見た目だけでは分かりません。
ましてや、一昔前に良くあった「建て逃げ」(たてるだけでメンテはしない)などは、
全く持ってわかりません。
大切な事は、
1)自分が支払える予算であるかどうか
オーバーローンで月々の支払いで汲々ではないか?
2)考えているプランや性能が、予算でたてられるのか?
安ければいい、というものではありません。安かろう、悪かろうという言葉もあります。
3)規模は適切か?
立派な子供部屋を作ったはいいが、使ったのは数年・・・という事にならないか?
かを、しっかりと見極める必要があります。
これらはを見極めるには、信頼出来る設計事務所か工務店さんに相談し、
長いスパンで計画を立てて行く必要があります。
折角建てる住まいならば、
長く快適に、安心して住たいと思いませんか?
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