気密って本当に必要なの?
高気密/高断熱がセットで語られるようになって久しいですが、本当にこれらの性能が必要なのか、
今一度考えてみましょう。
『高気密=家の気密性能が高い』
読んで字のごとくで、一般的には「隙間風が入らない家」とイメージされていると思います。
もちろん、高気密の家は隙間風は入りません。
しかし、隙間風を防ぐために高気密にしているのではないのです。
隙間風を防ぐ程度であれば、「気密」というよりも、
隙間が出ないようにきちんと施工すれば、常識的なものは防げます。
隙間風が入るということは、どこかにある程度の大きな「穴」が開いていて、
外部と内部がつながってしまっている状態のことで、このような隙間が壁にあるとすると、
隙間風以外にも、雨水の浸入などの危険があり、気密云々の次元の手前の話です。
では、なぜ建物の気密化が必要だと思われますか? それは大まかには、
【1】壁のなかの断熱材などの保護
【2】計画換気の適正化
【3】熱損失の低減
の、3つに分けられます。では、それぞれにご説明していきます。
【1】壁のなかの断熱材などの保護
壁の中の断熱材は壁の中で湿気を帯びると、断熱性能の低下を起こすばかりだけではなく、
その湿気の滞留や結露により、柱や土台に悪い影響を及ぼす場合があります。
壁の中の環境を守るためには、室内側からの湿気を帯びた空気が壁の中に張り込まないように、
しっかりと気密工事を行う必要があります。
結果的に、この気密工事をすることで、家の気密があがることになります。

【2】計画換気の適正化
~kameplan archtecs独自の小屋裏集中換気システム~
「計画換気」とは、これも読んで字のごとく「計画的に換気する」ということです。
平成15年7月の建築基準法改正により、人が居る部屋には換気設備の設置が義務付けになりました。
これは、家に使われる建材にいろいろな化学物質が使われるようになり、
その化学物質が神経系に悪い影響を与えることが判ってきた事から、
化学物質の使用制限とともに、室内空気質を維持するために、換気設備の設置が義務になりました。
では、化学物質を使っていなければ、換気設備はいらないのか?というと、そうでもありません。
人が室内で生活している以上、暖房や調理による二酸化炭素や湿気、家具や暮らしに使うあらゆるものに、
化学物質などが微量にでも含まれているので、やはり換気が必要なのです。
では、家のあちこちに換気扇を設置すればそれでよいかというと、
そうすることで換気することも可能ですが、空気の特性をうまく利用することで、
効率的な換気が出来るようになります。
その空気の特性とは「暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に下がる」というものです。
また、室内で自然に温められた空気は、ゆっくりと上昇していくので、
その間に、空気の新鮮度合いは下がっていきます。
つまり、吹き抜けや階段などで、空間を小屋裏(ロフトなど)までつなげてあげることで、
自然と室内の古い空気が小屋裏に集まっていくので、
ここで換気してあげることが、熱と空気の動きの上でも合理的なのです。
また、夏は小屋裏が屋根の熱で暑くなってしまいましが、
小屋裏でから排気することで熱を排出するとともに、小屋裏を常に換気しているので、
物置としての環境も良くなります。
「ヒートチムニー」という、太陽熱を利用した自然換気塔を設置すると、
換気扇を使わなくても効率的な換気が出来ます。
【河辺の家で採用した、ヒートチムニー】
では、気密が低い状態で換気を行うとどうなるでしょう。
1階/2階にも吸気口を設置していても、小屋裏の隙間から空気をから吸い込んで、
小屋裏の換気扇から排出してしまい、家全体の換気を狙っていても、出来なくなってしまいます。
これは「ショートサーキット」という現象で、小屋裏集中排気システムでなくても起こる現象で、
換気扇の近くから吸い込んでしまい、計画した部屋の換気ができないことを指します。
このように、「計画的に換気する」ということは、
狙った吸気口から吸い込んで、狙った換気扇から排出させることで、
そうするためには、余計な隙間をなるべく少なくすることが必要です。
そのために、建物の気密を上げることが必要になるのです。
ただし、「気密をあげる」=「計画換気をする」という、セットのものですので、
やたらめったら気密だけを上げると、室内空気質の悪化を招くだけで、良いことはありません。
必ず、計画換気もセットで考えなければなりません。
【3】熱損失の低減
そして最後に、熱損失の低減があげられます。
空気の特性は、【2】であげた「暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に降りる」とともに、
「暖かい空気は、冷たい空気のほうに流れる」特性もあります。
この特性が「対流」という現象を起こし、地球の気候を平準化させる仕組みにもなっています。
では、建物ではどういうことが起こるかというと、冬は室内の暖かな空気が外部に流れ出し、
その代わりに同じ量の外気が室内に入ってきます。
隙間風のように人が感じる大きな隙間でなくても、
家全体に隙間が散在していると、ここから出て行く暖かな空気の量は馬鹿になりません。
効果としては高断熱化のほうが高いですが、やはり「もったいない」モノには違いが無いので、
やり過ぎない程度の気密はほしいものです。